マイコンを使うメリット

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すっかり間が開いてしまったブログメンバーのTです。
季報ですか?ってぐらい時間が経ちましたね。
小さなことでも細々書く。心がけていきたいものです。

さて前回、マイコンとは何するものぞ。という事をざくっと書かせていただきました。
詰まるところ、High(1)とLow(0)という信号しか扱えないという事でしたね。
今回は、それでも世の中に浸透して、基板の上に当り前のように鎮座するようになっている理由を
自分の解釈として書いていこうと思います。

マイコン VS アナログ回路

マイコンを使用するメリットとは何ぞや?と、先ず疑問が出ると思います。
極論を言えば、従来の電気回路で実現できていた事をマイコン搭載の電子基板で再現しようとすると、
信号のデジタル化 → マイコン処理 → 信号のアナログ化という処理が追加され、単純に言って処理が遅くなります。
さらに、オペアンプ等が実現するマイクロ秒・ナノ秒レベルの反応速度には、クロック速度の制限があり中々勝てません。
 
波形品質に関してもDAコンバータ等を用いても原理的にデジタル信号である為勝てません。
大電流を扱うような回路でも、自身で扱える電流値は数十mAぐらいが関の山なので、まず太刀打ちできません。
 
 
~~をする機能という括りでは、確りと作りこまれたアナログ回路と比べ、どうしても見劣りしてしまいます。
実際、そういう分野の回路はマイコンに取り込まれず生存し続けています。

マイコンのメリット

それでは、マイコンが有利な部分はどこかというと、
それらの回路に対し自由自在にコントロールできるところにあります。
 

挙動の制御・管理

例えば、音の再生。
昔はレコードやカセットテープに物理的に記録された音声データを、スピーカーに伝えて音声にするものでした。
ここに、音声データとスピーカーの間に介在し、曲の頭出しを行ったり、

音楽データ自体をデータとして内部に取り込んで切取・速度変更等、
自在にコントロールするのが、CDプレーヤやMP3プレーヤ等になります。
(エフェクト等も回路を介さず行う事が出来ます)

 

例えばエアコンの制御。
昔は設定した温度になるまで暖房なり、冷房なりを行い。設定温度になったら切れるものでした。
ここに、温度センサや人の位置を検知するような機能を利用し、柔らかく温度を制御したり、
風量・風向を人の心地が良いように調整するようになったりしてます。

エアコンで当たり前についているリモコンなども、マイコンの力に拠るところが大きいと思います。

こういった例のように電気回路と人の間に仲立ち、きめ細かな機能を作ろうとした時にメリットが生まれてきます。

仕様変更に強い

マイコンに書込むデータを変更する事で、まるで別の基板であるかのように生まれ変われます。
 
特に開発時に効果が発揮できるのですが、
仕様がはっきりと決まっていないけれど早く作らなくてはならない!みたいな状況の時、
必要最低限な回路をマイコンに繋いで、さぁ一旦作成!
基板が出来上がった後、実動作を見ながら動きを調整したり。そこで仕様を決めながら作り込んでいく。
みたいな事も可能です。
例えば、センサー類の入力素子。とりあえず接続。値に対してこう動く。という部分は後回し。
例えば、モーター等の負荷。最低限の動作を確認後、FET等で動作制御できるようにしておいて、とりあえず接続。動きのパターンは後回し。
 
最初から仕様がガチッと決まっているようならいいのですが、そうじゃないケースは多いはず(私の周りは多いです)
ハッキリしていない部分は追ってはっきりさせたり、実動作を見て打ち合わせたり出来るので、
グレーな部分が多い仕様とも戦う事が出来ます。
 
また、PC上のソフトウェアでよくあるような、
一度出荷してから、その後バグ修正や機能追加を行う事も出来ます。
(予め、そういうシステムにしておく必要があったり、セキュリティ的な部分が合ったりするので、まだ一般的では無さそうですが)

コンピュータ通信

そして、これが一番の長所だと考えているのですが、通信処理に強いです。
 
車等で使用されているCAN通信によるマイコン間通信。昔ながらのRS232C通信やUSB通信。はたまた最近だとLAN。Wifi。ブルートゥースによるPCとの通信。
これらによるデータのやり取りが可能になった事で、データの集積や遠隔操作が可能となり、やれる事の幅がけた違いに広がります。
 
単純に、現在動いている基板に通信を追加し、データの送受信。操作コマンドを追加してやれば
MODBUS通信等に代表される工場の装置をPC一つで管理できるようにしたり
Wi-SUNのように、自宅の家電類の使用状況の把握・操作(所謂スマートホーム)を行えたりします。
 
センサ類を載せて、その情報をPCやクラウドのデータベースに送り続け、受け側がそのデータの解析・表示を行なっているのがIoTと言われるものです。
 
またPC上のアプリケーションを使ってリッチなインターフェイスで入力し通信で操作も可能です。
出荷した大量の機械設備に、Wifiに接続できる機能を持たせ、
会社に居ながらでも情報収集でき、故障した時や故障の前兆を検知した時にアラートを通知。
お客様からの苦情や相談が来るより早く対応できる。というシステムも、海外でしていると聞きます。
 
身近な所でも、社内の複合コピー機がインク切れ情報を通知して業者が動く。みたいなのがありますね。

まとめ

私なりのマイコンのメリットを挙げさせていただきました。
内部で行っている事自体は前回述べさえてもらった通り単純な動作しか出来ないのですが、
今の世の中がコンピュータ中心となっており、マイコンとの親和性が高く、利用しやすい環境になっている事が、メリットに繋がっていると認識しています。
 
なので、アナログ回路にマイコンで操作できるインターフェイスを実装(FETやオペアンプ等)
後はマイコンで仕様を作る。みたいな形を作れば強いかなって思います。